セミナーのお知らせ 25-02

タイトル Majorana粒子とはなにか

講師: 藤川 和男(理化学研究所)

日時:2025年11月7日(金) 16:00-

場所:B1206教室

参考文献:K.Fujikawa and A. Tureanu, “Two classes of Majorana neutrinos in the seesaw model,” Phys. Lett. B 858 (2024) 139064.[arXiv:2405.18702v2 [hep-ph]]
および
K. Fujikawa, “Absence of Majorana-Weyl fermion in d=4 and the theory of
Majorana fermion”, (in preparation).

セミナーのお知らせ 25-01

タイトル 弦ジャンクションの量子化へ向けて

講師: 浅野 雅子(成蹊大学理工)

日時:2025年6月6日(金) 17:00-

場所:B1206教室

概要:弦理論の枠組み中には、基本となる開弦や閉弦に加えて、Dブレインやそれらが結合した弦ジャンクションなど様々な物体が存在する。ここでは、複数の開いた弦の端点が結合された「弦ジャンクション」を一つのオブジェクトとして扱い、開弦や閉弦における共変量子化(OCQ)の手法を用いて量子化を実行し、物理的状態を解析する。弦の場合と異なり、代数関係や物理的状態を同定するための条件が複雑であるが、ある一つの条件を仮定すると、無矛盾な(負ノルム状態を含まない)物理的状態が得られることを示すことができる。以上の結果を解説するとともに、異なる量子化条件の可能性や光円錐量子化との関係、今後の課題について報告する。

集中講義のお知らせ 2024

大学院集中講義 「 素粒子物理学特論B 」

講師: 石橋 延幸 氏  (筑波大TCHoU)

日時:2024年

11月6日(水) 9:00-
11月7日(木) 9:00-  (17:00- セミナーを予定)
11月8日(金) 9:00-

場所: B1207教室

概要: 重力を含む素粒子の統一理論の候補として最も有力なのが超弦理論である。超弦理論においては、理論のファインマングラフ展開を与えるルールは知られているが、理論の出発点となるべき方程式・作用は何かということが知られていない。弦の場の理論とは、超弦理論の出発点となるべき方程式・作用を作るアプローチのひとつである。この講義では、弦の場の理論の基礎的な手法を説明し、研究の現状を紹介する。

セミナーのお知らせ 24-03

タイトル 古典統計的手法による粒子生成

講師: 平山 貴之(中部大理工)

日時:2024年7月26日(金) 17:00-

場所:B1206教室

概要:量子力学や量子論の相関関数、例えばフリーの2点関数はファインマンプロパゲーター、を計算する方法として、古典統計的手法があります。この方法は、量子ダイナミクスを計算することが可能であるため、重要な計算テクニックとなります。古典統計的手法を量子力学を例に説明し、調和振動子の角振動が変化したときに起きる粒子生成を計算し、量子ダイナミクスを正しく計算できることを確認します。調和振動子の例の延長線として、ホーキング輻射への応用も議論します。

セミナーのお知らせ 24-02

タイトル ゲージ・ヒッグス大統一理論と加速器実験の現象論

講師: 山津直樹(京大基研)

日時:2024年6月28日(金) 17:00-

場所:B1206教室

概要:ゲージ・ヒッグス統一理論(GHU)は、ゲージ階層問題を解決する可能性の一つであり、様々な側面から研究されています。GHUでは、ヒッグス粒子はゲージ粒子の余剰次元成分であり、ゲージ対称性のためにヒッグス粒子の質量に対する量子補正は抑制されます。私はGHUと大統一理論(GUT)を組み合わせたSO(11)ゲージ・ヒッグス大統一理論(GHGUT)を提案し、その低エネルギー有効模型としてのSO(5) x U(1)対称性に基づくGHUの電弱統一模型を構築しました。最近この模型の実験的検証可能性について研究を進めています。本セミナーでは、GHGUTと有効模型の概要を簡単に説明してから、将来の電子・陽電子線形衝突型加速器実験を用いたGHU模型の検証可能性について時間の許す範囲で紹介します。

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セミナーのお知らせ 24-01

タイトル ホモトピー代数に基づく場の理論とWard高橋恒等式

講師: 吉中譲次郎(京大理)

日時:2024年5月31日(金) 17:00-

場所:B1206教室

概要:ホモトピー代数は、通常の代数が満たすべき性質である結合法則やヤコビ恒等式などを、ある条件の下で緩めた代数の総称である。これは、弦の場の理論の作用の構成の文脈で利用されてきた。近年では、作用の構成だけでなく、ホモロジカル摂動を利用した解析も行われ、様々な応用が期待されている。ホモトピー代数を利用する利点の一つは、理論の詳細に依らない記述ができることである。具体的には、弦の場の理論も簡単なスカラー場の理論も形式的に同じ表式で表すことができ、共通の代数的な性質に従う。このことから、通常の場の理論において知られている解析手法を一旦ホモトピー代数の言葉に翻訳することで、弦の場の理論の解析にも適用できるようになると期待できる。
本研究では [arXiv:2203.05366] によって提供された相関関数のホモトピー代数的な表式をもとに、場の理論において特に重要なWard高橋恒等式をホモトピー代数の関係式のみを用いて導いた。この結果は弦の場の理論にもそのまま適用可能であると期待される。本研究は鴻巣圭佑氏との共同研究である。

セミナーのお知らせ 23-03

タイトル 複素スカラー拡張模型における電弱バリオジェネシス

講師: 出川智香子(お茶の水女子大学)

日時:2023年12月22日(金) 17:00-

場所:B1206教室

概要:物理学の未解決問題の1つに、現在の宇宙が粒子からなる物質で構成されており、反粒子からなる反物質が物質と比べて極端に少ないという宇宙のバリオン数非対称性が挙げられる。この謎を解く仮説として、電弱対称性の破れと関連してバリオン数が生成される電弱バリオジェネシスが存在する。電弱バリオジェネシスは標準模型を超える物理を示唆しており、ここでは標準模型に複素スカラー場を1つ加えた模型(Complex singlet extension of the Standard Model; CxSM)を取り上げる。CxSMには複数のヒッグス粒子が存在し、これらの質量がほぼ縮退しているとき、新物理のシグナルが抑制され標準模型からのずれは観測されないことが知られている。まず、電弱バリオジェネシスの実現に不可欠な強い電弱一次相転移に言及し、その後スカラーポテンシャル内のCP位相を標準模型セクターに伝搬するために高次元演算子の導入を行う。さらに、生成されるバリオン数の評価を行い、既存の電気双極子モーメント測定実験との整合性および重力波観測実験等の将来実験による模型の検証可能性を問う。

セミナーのお知らせ 23-02

タイトル Closed string amplitudes around tachyon vacuum solution in Kaku’s bosonic string field theory

講師: 安藤 雄史(筑波大数理物質)

日時:2023年12月15日(金) 17:00-

場所:B1207教室

概要:非摂動的な弦理論の候補である弦の場の理論では、古典解は様々なDブレーンの配位に対応する。その中でもDブレーンが1枚も無い配位に対応するタキオン真空解は、摂動的には考えることの出来ない配位であり、この解周りでは開弦が関与しない閉弦だけの理論になると予想されている。しかし、現在まで様々なボソン弦の場の理論が提案されているが、タキオン真空解を構成し、その周りの閉弦振幅が実際に予想されるものに一致するかどうかは確認出来ていない。本講演ではKaku vertexを用いて構成される理論に焦点を当て、実際にこの理論でタキオン真空解を構成し、その周りの振幅が期待される閉弦だけの振幅に一致することを確認する。

セミナーのお知らせ 23-01

タイトル 標準模型の謎と余剰次元模型

講師: 竹内 万記 (神戸大理)

日時:2023年5月26日(金) 16:30-

場所:B1207教室

概要:標準模型は2012年ヒッグス粒子の発見とともに大きな成功をおさめましたが、未だ説明できない現象が数多く残されています。その一つに、クォーク・レプトンは質量のみが異なり、スピンや電荷が全く同じコピーが3つ存在するという世代数問題があります。この3世代は偶然でしょうか、それとも必然でしょうか?標準模型ではなぜ3世代であるかを説明することはできません。一方で、この世代数を説明しうるのが余剰次元模型です。余剰次元模型において世代数は余剰次元の幾何と結びつきます。つまり世代数は余剰次元の幾何という物理的意味を持ちます。今回のセミナーでは一様磁場のかかったT2/ZN orbifold模型という余剰次元模型における世代数構造についてお話しします。

セミナーのお知らせ 22-01

タイトル 実時間経路積分をテンソルネットワーク法で計算する

講師: 武田 真滋 氏 (金沢大学)

日時: 2022年12月7日(水) 16:00-

場所: B1207教室

概要:場の量子論の非摂動的計算手法といえば、時空を格子上に定義した格子場の理論とモンテカルロ法の組み合わせがよく知られている。
しかし、モンテカルロ法には符号問題があるため、素粒子物理学の分野では有限密度QCDやトポロジー項が入った系、カイラルゲージ理論、実時間系などの非摂動的な情報を得ることが難しかった。
一方、テンソルネットワーク法には符号問題がないため、これらの系のダイナミクスを第一原理計算によって取り出せると期待されている。
本セミナーでは、テンソルネットワーク法の入門的な紹介をした後、実時間系の経路積分をテンソルネットワーク法で計算する方法について説明する。簡単な例として、非線形な自己相互作用をもつ1+1次元格子上の実スカラー場理論を考える。最後に、数値計算の結果も紹介する。