集中講義のお知らせ 2024

大学院集中講義 「 素粒子物理学特論B 」

講師: 石橋 延幸 氏  (筑波大TCHoU)

日時:2024年

11月6日(水) 9:00-
11月7日(木) 9:00-  (17:00- セミナーを予定)
11月8日(金) 9:00-

場所: B1207教室

概要: 重力を含む素粒子の統一理論の候補として最も有力なのが超弦理論である。超弦理論においては、理論のファインマングラフ展開を与えるルールは知られているが、理論の出発点となるべき方程式・作用は何かということが知られていない。弦の場の理論とは、超弦理論の出発点となるべき方程式・作用を作るアプローチのひとつである。この講義では、弦の場の理論の基礎的な手法を説明し、研究の現状を紹介する。

セミナーのお知らせ 24-03

タイトル 古典統計的手法による粒子生成

講師: 平山 貴之(中部大理工)

日時:2024年7月26日(金) 17:00-

場所:B1206教室

概要:量子力学や量子論の相関関数、例えばフリーの2点関数はファインマンプロパゲーター、を計算する方法として、古典統計的手法があります。この方法は、量子ダイナミクスを計算することが可能であるため、重要な計算テクニックとなります。古典統計的手法を量子力学を例に説明し、調和振動子の角振動が変化したときに起きる粒子生成を計算し、量子ダイナミクスを正しく計算できることを確認します。調和振動子の例の延長線として、ホーキング輻射への応用も議論します。

セミナーのお知らせ 24-02

タイトル ゲージ・ヒッグス大統一理論と加速器実験の現象論

講師: 山津直樹(京大基研)

日時:2024年6月28日(金) 17:00-

場所:B1206教室

概要:ゲージ・ヒッグス統一理論(GHU)は、ゲージ階層問題を解決する可能性の一つであり、様々な側面から研究されています。GHUでは、ヒッグス粒子はゲージ粒子の余剰次元成分であり、ゲージ対称性のためにヒッグス粒子の質量に対する量子補正は抑制されます。私はGHUと大統一理論(GUT)を組み合わせたSO(11)ゲージ・ヒッグス大統一理論(GHGUT)を提案し、その低エネルギー有効模型としてのSO(5) x U(1)対称性に基づくGHUの電弱統一模型を構築しました。最近この模型の実験的検証可能性について研究を進めています。本セミナーでは、GHGUTと有効模型の概要を簡単に説明してから、将来の電子・陽電子線形衝突型加速器実験を用いたGHU模型の検証可能性について時間の許す範囲で紹介します。

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セミナーのお知らせ 24-01

タイトル ホモトピー代数に基づく場の理論とWard高橋恒等式

講師: 吉中譲次郎(京大理)

日時:2024年5月31日(金) 17:00-

場所:B1206教室

概要:ホモトピー代数は、通常の代数が満たすべき性質である結合法則やヤコビ恒等式などを、ある条件の下で緩めた代数の総称である。これは、弦の場の理論の作用の構成の文脈で利用されてきた。近年では、作用の構成だけでなく、ホモロジカル摂動を利用した解析も行われ、様々な応用が期待されている。ホモトピー代数を利用する利点の一つは、理論の詳細に依らない記述ができることである。具体的には、弦の場の理論も簡単なスカラー場の理論も形式的に同じ表式で表すことができ、共通の代数的な性質に従う。このことから、通常の場の理論において知られている解析手法を一旦ホモトピー代数の言葉に翻訳することで、弦の場の理論の解析にも適用できるようになると期待できる。
本研究では [arXiv:2203.05366] によって提供された相関関数のホモトピー代数的な表式をもとに、場の理論において特に重要なWard高橋恒等式をホモトピー代数の関係式のみを用いて導いた。この結果は弦の場の理論にもそのまま適用可能であると期待される。本研究は鴻巣圭佑氏との共同研究である。