集中講義のお知らせ

大学院集中講義 「 素粒子物理学特論B 」

講師: 國友 浩 氏  (京大基研)

日時:2021年 12月6日(月) 9:30-
12月7日(火) 9:30-
12月8日(水) 9:30-

場所: B1207 教室(初回)

概要:超弦理論は矛盾のない量子重力理論の最有力候補であり、自然界に存在するあらゆる現象の基礎となる究極の統一理論とも期待されている。超弦の場の理論は、これに摂動論や背景時空に依存しない理論的基盤を与える定式化として最も伝統的な手法である。
講義では、開いた弦を題材に、より基本的なボソン弦の場の理論から出発し、そのゲージ不変性を保証するホモトピー代数について初学者にもわかり易く解説した後、超弦理論への拡張を行う。時間が許せば閉じた弦の場の理論についても触れる。(シラバス参照)

 

学位公聴会のお知らせ 2021

タイトル 4次元超対称非線形シグマ模型の定式化におけるアノマリーと有効ポテンシャルの解析

発表者: 近藤 綾さん  (奈良女子大学)

日時: 2021年2月19日(金) 13:00-

場所: G201教室

概要:4次元超対称非線形シグマ模型の相構造を明らかにする研究を行った。超対称非線形シグマ模型は,ゲージ化された線形模型として定式化できるとされているが,双方の量子等価性において,隠れた局所対称性に量子異常が存在することを指摘する。4次元の超対称CPN-1多様体上に基づく模型においてWess-Zumino項を加えて量子異常を考慮した有効ポテンシャルの解析を行う。量子異常をもつゲージ理論の非線形模型への量子化の手順を適応することで、精密にWess-Zumino 項を導出する。結果として,線形化された模型においてグローバル対称性が従来の線形化された模型よりも小さくなることがわかる。さらに1/Nリーディングオーダーでこの線形模型の有効ポテンシャルの解析を行った結果、弱結合領域では超対称性を保つ安定な真空が存在する一方で、強結合領域では安定な真空が存在しないことがわかった。

セミナーのお知らせ 19-04

タイトル K→ π π 行列要素のウィルソン係数の非摂動決定

講師: 富井 正明  (University of Connecticut)

日時: 2019年12月25日(水) 17:00-

場所: B1207教室

概要:CP対称性の直接的破れと深く関係する K→ππ行列要素に対する標準模型からの寄与を格子QCDで計算できる時代となった。RBC/UKQCD による行列要素の計算はチャームを含まない4クォーク演算子のみを用いてなされたものであり、チャームの寄与を押し込んだ3フレーバー理論のウィルソン係数が必要となる。これを計算するには 1 GeV 付近でのマッチングが必要であり、摂動論では不定性が大きい。本講演では格子QCDを用いた非摂動マッチングの方法と数値計算の途中経過を発表する。

セミナーのお知らせ 19-03

タイトル 汎関数くりこみ群とゲージ論

講師: 伊藤 克美 (新潟大教育)

日時:2019年8月2日(金) 17:00-

場所:B1207教室

概要:汎関数くりこみ群を用いて対称性を持つ場の理論を考察する手法について議論する.ゲージ対称性は最も重要な対称性ながら汎関数くりこみ群の手法との相性が良くない.問題の所在を明らかにし,QEDを具体例として現状を解説する.

セミナーのお知らせ 19-02

タイトル マルコフ連鎖モンテカルロ法における配位間の距離の定義とAdS幾何の発現

講師: 松本 信行 (京大理)

日時:2019年7月12日(金) 17:00-

場所:B1207教室

概要:マルコフ連鎖モンテカルロ法において確率分布がマルチモーダルである場合、異なるモードに属する配位間の遷移は難しい。我々は[1]において、この配位間の遷移の難しさを「配位間の距離」として定量化した。この距離は、局所的な遷移を行うアルゴリズムに対して普遍的な性質を持つ。また、配位間の距離を用いることで(1)配位空間に幾何を導入することや、(2)アルゴリズムのパラメータを最適化することが可能になる。 本講演では、真空が著しく縮退した系にsimulated tempering法を適用した場合に、(1)拡大された配位空間の幾何がEuclidean AdSになること、および (2)tempering parameterを幾何学的に最適化できることを議論する。本内容は福間将文氏、梅田直弥氏との共同研究[1,2]に基づく。

[1] M. Fukuma, N. Matsumoto and N. Umeda, “Distance between configurations in Markov chain Monte Carlo simulations,” JHEP 1712, 001 (2017) [arXiv:1705.06097]. [2] M. Fukuma, N. Matsumoto and N. Umeda, “Emergence of AdS geometry in the simulated tempering algorithm,” JHEP 1811, 060 (2018) [arXiv:1806.10915].

セミナーのお知らせ 19-01

タイトル Recomputing Localized Fayet–Iliopoulos Terms on S1/Z2 Orbifolds and Vacuum Instability

講師: 上村 尚平 (奈良女子大学)

日時:2019年6月28日(金) 17:00-

場所:B1207教室

概要:5次元超対称 U(1) ゲージ理論の S1/Z2 orbifold コンパクト化を行うと量子補正として固定点に局在した FI 項が現れる。局在した FI 項はバルクの波動関数の不安定性を引き起こす。波動関数が変化すると量子補正も変化するため、波動関数の不安定性は真空の不安定を引き起こす可能性がある。我々はある場合では上の予想が正しいことを示し、安定な配位とその時の波動関数のモード展開がどのように与えられるかを示す。

セミナーのお知らせ 18-07

タイトル 開弦の場の理論における任意枚数の多重ブレイン解の解析的構成

講師: 畑 浩之 (京都大学)

日時:2019年2月15日(金) 17:00-

場所:B1207教室

概要: Witten型開弦の場の理論において、任意枚数の多重D25ブレインを表す厳密解の構成法を与える。(N+1)重ブレイン解は[N/2]個の実数パラメータを持ち、解に対する自然な要求からパラメータが有理数として決定される過程を説明する。

セミナーのお知らせ 18-06

タイトル Superstring phenomenology: コンパクト空間と世代構造

講師: 小林 達夫 (北海道大学)

日時:2018年12月7日(金) 17:00-

場所:B1207教室

概要:コンパクト空間上の超弦理論について、簡単に解説し、
どのように素粒子物理学的性質が現れるかを概観する。
さらに、コンパクト空間の幾何学的構造や対称性と
クォーク・レプトンと世代の構造の関係について議論を行う。

 

セミナーのお知らせ 18-05

タイトル D項による超対称性のダイナミカルな破れ

講師: 丸 信人 (大阪市大理)

日時:2018年11月9日(金) 17:00-

場所:B1207教室

概要:D項による超対称性のダイナミカルな破れを起こす模型を紹介する。超伝導におけるBCS理論や南部・Jona-Lasinio模型と同様に、ギャップ方程式の非自明解としてD項の真空期待値が生成されることを議論する。

セミナーのお知らせ 18-04

タイトル カイラルゲージ理論のゲージ対称性を保つ新しい正則化

講師: 濱田 佑 (京都大学)

日時:2018年7月20日(金) 17:00-

場所:B1207教室

概要:標準模型はカイラルゲージ理論であるが、従来のカイラルゲージ理論の摂動論的正則化は、たとえ理論がanomaly-freeであったとしてもゲージ対称性を破ってしまうことが知られている。そこで我々は次の2つの方法を組み合わせてゲージ対称性を保つ正則化を開発した。一つ目に5次元のドメインウォールフェルミオンに対してPauli-Villars場を導入し、ゲージ不変に正則化された4次元のカイラルフェルミオンを得た。第二にゲージ場に対してのみ次元正則化を適用し、4+\epsilon 次元に拡張した。

本講演では、我々の方法において全ての紫外発散が正則化され、もとのLagrangianにくりこめること、またfermion number anomalyが正しく再現されることを示す。最後に、この正則化を用いることで、標準模型(特に電弱セクター)の輻射補正の計算が従来よりも劇的に簡単になる可能性を議論する。