program

招待講演

招待講演①

「格子理論と非摂動ダイナミクス」(スライド)
11:30~12:40(60分+10分)
大木 洋 氏
格子理論計算の基礎について話をします。
また量子色力学や場の理論の相構造などの非摂動ダイナミクスとその素粒子現象論への応用についても議論する予定です。

招待講演②

「弦理論入門 –散乱振幅と弦の場の理論–」(スライド)
16:40~17:50(60分+10分)
高橋 智彦 氏
弦理論について入門的な話をしたいと思います。素粒子論における弦理論研究の意味、ポリヤコフ作用と散乱振幅、弦の場の理論などについて述べる予定です。

タイムテーブル

時間  
9:30~ 受付
10:30~ 開会あいさつ
10:35~ トーク①(赤松、古賀)
15分+5分トーク × 2
11:15~ 休憩①
11:30~ 招待講演①
12:40~ 昼食
14:10~ トーク②(小川、津田、岩中)
15分+5分トーク × 3
15:10~ 休憩②
15:25~ トーク③(吉中、嶋守、久代)
15分+5分トーク × 3
16:25~ 休憩③
16:40~ 招待講演②
17:50~ 閉会あいさつ

ショートトーク

「フラックスコンパクト化された理論におけるゲージ対称性の破れ」(スライド)
赤松 拳斗(大阪公立大 M2)
我々はフラックスとスカラー場の真空期待値を持つ、フラックスコンパクト化された理論におけるゲージ対称性の破れを議論する。フラックス単体の場合は有効ポテンシャルが生成されないことが知られているが、我々はスカラー場に対する真空期待値を考慮することで、有効ポテンシャルを生成することに成功した。

「非超対称な弦理論と宇宙定数」(スライド)
古賀 勇一(大阪公立大 D2)
近年の加速器実験によれば、超対称性が発見される兆候は未だに見られない。本発表では、プランクスケール程度の非常に高エネルギー領域において超対称性が既に破れている非超対称な弦理論に注目する。特に、宇宙定数が指数関数的に抑制される非超対称な弦模型である内挿模型に焦点を当て、内挿模型の拡張と宇宙定数に関して議論する。

「Wedge Holography in Flat Space and Celestial Holography」(スライド)
小川 順生(京都大 M2)
漸近的平坦な時空におけるホログラフィー対応としてCelestial Holographyというものが知られている。このホログラフィー対応の特徴としてBulkに双対なCFTの次元がBulkの次元より2つ低いということがある。同様の特徴を持つホログラフィー対応としてAdS/BCFT対応において知られているWedge Holographyというものがある。本研究ではこのWedge Holographyの考え方を平坦な時空に適応することで平坦な時空でのcodimension2のホログラフィー対応を提案した。このホログラフィー対応においてCFTのcentral chargeやspectrumを計算することで、Celestial Holographyとの関連性について議論する。

「Symmetric orbifold CFTへの招待」(スライド)
津田 崇史(京都大学 M2)
Symmetric orbifold CFTは、2次元CFTをN個用意し、対称群S_Nによってorbifold化することで構成されるCFTである。これはlarge N極限ではHagedorn相転移を示すなど、holographic CFTと似た特徴を示すを持つことが知られている。また、特定のマージナル変形によって実際にholographicな理論に格上げできると期待される例も多くある。本発表では、以上の事柄をレビューしたのち、symmetric orbifold CFTの新たな解析手法を紹介する。また、解析手法の応用として、AdS3におけるブラックホールのPoincare再帰時間との関係を議論する。京大基研の高柳匡氏との共同研究[https://arxiv.org/abs/2209.00206]に基づく。

「陽子・中性子の第二励起状態がパイオンを 1 つ放出して崩壊する過程のホログラフィック QCD による研究」(スライド)
岩中 章紘(大阪大 D1)
QCD の低エネルギーの物理を知る手段の一つに有効模型がある.代表的な有効模型としてクォーク模型があり,実験事実をよく説明することが知られている.しかしクォーク模型にはいくつかの問題が知られている.その例として,陽子・中性子の第 1 励起状態 N(1440) と第 2 励起状態 N(1535) の順番が理論計算と観測結果で逆転する問題や,N(1440) → Nπ 崩壊 (N は陽子・中性子) が理論計算では禁止される問題などがある.上記のようなクォーク模型の問題点がホログラフィック QCD では改善されることが,近年明らかとなっている.このような背景のもと,本研究では N(1535) → Nπ 崩壊の結合定数をホログラフィック QCD を用いて計算し,モデル計算として妥当な結果を得た.

「開弦場理論におけるKBc代数を用いた物質場を含む解の構成」(スライド)
吉中 譲次郎(京都大 M2)
開弦の場の理論において、タキオン真空解をはじめとする古典解は、KBc 代数と呼ばれる代数を満たす3つの量 K,B,c を用いて幅広く研究されてきた。本講演では、KBc 代数を満たし、物質場を任意に含んだ様々な組が存在することを紹介する。また、KBc 代数で構成された解はその代数関係のみによって解であることが保証されるため、これまでに知られている物質場を含む重要な解を、KBc 代数の立場から再構成できることを示す。

「共形場理論における、Feynman図に依らない異常次元の決定」(スライド)
嶋守 聡一郎(大阪大 M2)
共形場理論はくりこみ固定点上の理論を記述する普遍的な理論である。ε展開を用いると、Wilson-Fisher固定点(WFFP)という相互作用のある共形場理論が現れ、 場が輻射補正による異常次元を持つ。 通常、異常次元はFeynman図を用いて計算されるが、本講演ではまずはFeynman図を用いずに異常次元を決定する方法(Rychkov-Tan method)のレビューを行う。 最後にdefect CFTへの応用を、現在行っている研究内容も含めて紹介する。

「near pp-wave背景上のカオス的弦の運動」(スライド)
久代 翔大(京都大 D1)
\(\mathrm{AdS}_5\times S^5\)のnear penrose極限をとった背景上での古典的弦の運動を調べた。元の\(\mathrm{AdS}_5\times S^5\)上の古典弦は可積分であることが知られて、さらにpenrose極限をとっても可積分になっている。しかし、補正項を入れたnear penrose極限における弦の運動を考えると、カオス的になることを示す。