量子力学1アンケートへのコメント

みなさんの意見を参考により良い講義となるように努めていきます。

高校物理の波と大学1回生レベルの微分方程式を知っていれば講義の初めの方は理解できるように話したつもりです。ただしそれだけで量子力学が修得できるわけではなく、エルミート演算子、波動関数の直交関係まで進むと線形代数の考え方が入ってきてしまい、2回生後期の量子力学にとってこれが鬼門となっています。ここ数年間、高校では行列や一次変換を扱わず、大学1回生でも操作としての行列の掛け算や行列式に慣れるのに精一杯、抽象的な複素ベクトル空間なんかは大事な概念だと気づかないまま過ぎてしまうからです。そして量子力学の中で複素ベクトルと再会しても1回生で習ったことさえ忘れている。しかし仕方がない面もあるので、必要な考え方だとわかったときに復習し、習った記憶がなければ一からでも修得するようにして下さい。

技巧的な側面ばかりに気を取られていてもいけません。粒子と波動の二重性、確率解釈など、量子論には日常(古典物理)とかけ離れた概念が登場してきます。まずはそういった考え方に慣れることが大切です。

慣れない数学と新しい考え方に習熟して量子力学を修得していくために大切なのは、自分でじっくりと演習問題を解いていくことです。様々な講義、サークル、通学、バイト等、忙しくて時間がないでしょうが、ある程度の時間をかけて取り組む以外の方法はありません。「量子力学1」が今一つわかってないなと思う人は、もう一度簡単な演習問題を解きながら、参考書や「量子力学1まとめ」のプリントを読んで基本事項を確認することをお薦めします。